市営住宅に入りやすい人とは?
優遇される世帯と、当選確率を上げる方法

更新: 2026-07-10 / 制度は変わります。応募前に必ずお住まいの自治体の最新の募集案内をご確認ください。

市営住宅・都営住宅などの公営住宅は抽選が基本ですが、「誰が申し込んでも同じ確率」ではありません。制度上、当たりやすくなる人(優遇対象)がはっきり決まっており、さらに応募先の選び方でも倍率は桁ごと変わります。この記事では、公営住宅法の枠組みをもとに「入りやすい人」の条件を整理し、当選確率を上げる具体的な方法をまとめます。

結論(入りやすい人の3条件)
  1. 優遇の対象世帯(障害者・高齢者・ひとり親・多子世帯など)にあてはまる
  2. 倍率の低い住戸(築古・エレベーターなし・バス便など)を選べる
  3. 落選回数の優遇を積み上げている(あきらめずに応募を続けている)
この3つの掛け算です。1つでも多く重ねるほど有利になります。

大前提:収入基準を満たしていること

公営住宅は「住宅に困窮する低額所得者」のための制度です(公営住宅法第1条)。申込みには収入基準があり、世帯の「政令月収(月収額)」が基準以下である必要があります。

  • 一般の世帯(本来階層):政令月収 158,000円以下
  • 裁量階層(後述の障害者・高齢者など):政令月収 214,000円以下まで緩和されることが多い

政令月収は給与の額面ではなく、年間所得から各種控除を引いて12で割った額です。ここが重要なポイントで、計算の途中で障害者控除(1人につき27万円、特別障害者は40万円)や同居者・扶養の控除が引かれます。つまり障害のある世帯は、同じ収入でも政令月収が低く計算され、基準を満たしやすい構造になっています。

※ 基準額は自治体の条例で異なる場合があります。障害年金などの非課税収入は原則、政令月収の計算に含まれません(自治体の募集案内で要確認)。

優遇される世帯(裁量階層・優先入居)

公営住宅法の施行令と国の通知は、特に居住の安定確保が必要な世帯を定めています。おおむね次の属性が対象です。

属性典型的な扱い
障害者のいる世帯(身体・精神・知的)裁量階層(収入基準の緩和)+抽選優遇の対象。対象等級は自治体で異なる(例:身体1〜4級、精神1〜3級など)
高齢者世帯(60歳以上)裁量階層+優遇対象。単身入居も可
ひとり親世帯(母子・父子)優先入居の対象。倍率優遇やポイント加点
多子世帯(子ども3人以上など)優先入居の対象
小学校就学前の子がいる世帯裁量階層に含む自治体が多い
DV被害者・犯罪被害者優先入居や目的外使用による特別な入居枠の対象
生活保護受給世帯・著しい低所得ポイント方式で困窮度加点の対象になることが多い

自分がどれに該当するかは、複数該当ならさらに有利になる自治体もあります(例:障害×ひとり親)。

優遇のしくみは3タイプ

「優遇」と一口に言っても、自治体によってしくみが違います。大きく3タイプです。

① 倍率優遇(抽選のくじが増える)

抽選で当せん番号を複数持てる方式です。たとえば東京都営住宅では対象世帯の当せんチャンスを5倍・7倍にする優遇があります。「くじを5枚・7枚引ける」イメージです。当選確率シミュレーターで、優遇ありの実際の確率を計算できます。

② ポイント方式(困窮度の点数で決まる)

抽選ではなく、住宅困窮度を点数化して高い順に入居する方式です。障害・立退き要求・家賃負担率・子どもの数などが加点対象になります。「運」ではなく「困っている度合い」で決まるため、該当項目が多い人は抽選より確実です。

③ 落選回数優遇(落ち続けた人が有利になる)

落選するたびに次回の当選確率が上がる方式です。落選の記録自体が資産になるため、「応募し続けること」が最も確実な戦略になります。自治体によっては落選●回で別枠扱いになることもあります。

※ どのタイプをどの組み合わせで使うかは自治体ごとに違います。募集案内(申込のしおり)の「優遇」「特例」のページを必ず確認してください。

「入りやすい住戸」を選ぶ——倍率は住戸で桁が変わる

同じ市内でも、応募倍率は数百倍の住戸と1倍未満(応募割れ)の住戸が同時に存在します。倍率を下げる要因はどの都市でもほぼ共通です。

  • 駅から遠い・バス便の団地
  • 築年数が古い(昭和築など)
  • エレベーターのない中層階以上
  • 間取りが世帯構成に合いにくい住戸

実際の倍率データは都市別にまとめています。狙い目住戸の傾向と、住戸条件で倍率を補正する計算機つきです。

単身者は入りやすい?——年齢と事情で分かれる

単身入居には制限があります。多くの自治体で共通する枠組みは次のとおりです。

  • 60歳以上:単身で申込可
  • 障害のある方(身体・精神・知的。等級要件あり):60歳未満でも単身で申込可。ただし常時の介護が必要な場合は在宅で介護が受けられることが条件になることが多い
  • 生活保護受給者・DV被害者など:単身可とする自治体が多い
  • 上記に該当しない60歳未満の単身者:申込不可の自治体が多数派

注意点として、単身向け住戸(1DK等)は供給が少なく、倍率は世帯向けより高くなりがちです。単身可=入りやすい、ではありません。ここでも「築古・EVなし」などの住戸選びが効きます。

落ちたときにやること(次回の当選確率を上げる)

  1. 落選ハガキ・記録を保管する——落選回数優遇の証明になります
  2. 応募先を倍率の低い住戸に切り替える——人気住戸に応募し続けるのが最も非効率です
  3. 募集の種類を変えてみる——定期募集のほかに、常時募集・随時募集(応募割れ住戸の先着順)を行う自治体もあります
  4. 優遇の申請漏れを確認する——手帳の等級や世帯状況の優遇は、自己申告しないと適用されないことがあります

よくある質問

Q. 市営住宅に入りやすい人はどんな人?

A. 収入基準を満たしたうえで、①優遇対象世帯(障害者・高齢者・ひとり親・多子世帯・DV被害者など)にあてはまる、②倍率の低い住戸を選べる、③落選回数の優遇を積んでいる——この3つを多く満たす人です。

Q. 障害者手帳があると当たりやすい?

A. 多くの自治体で有利になります。倍率優遇・ポイント加点の対象になるほか、収入基準の計算でも障害者控除が引かれるため基準を満たしやすくなります。対象等級は自治体ごとに異なります。

Q. 単身でも入れる?

A. 60歳以上の方や障害のある方などは単身可の自治体が多いです。60歳未満で特別な事情のない単身者は申込不可が多数派です。

Q. 何回も落ちたらどうなる?

A. 落選回数優遇のある自治体では、落ちるほど次回の当選確率が上がります。記録を保管し、応募を続けてください。

出典・参考

  • 国土交通省「公営住宅制度の概要」 mlit.go.jp
  • 公営住宅法・公営住宅法施行令(e-Gov法令検索) laws.e-gov.go.jp
  • 東京都住宅供給公社「都営住宅 申込資格・優遇抽せん」 to-kousya.or.jp
  • 各都市の応募状況・募集案内(都市別まとめの各記事に出典を明記)

本記事は制度の一般的な枠組みの解説です。優遇の対象・倍率・収入基準は自治体の条例と募集回で異なります。応募の際は必ずお住まいの自治体の最新の「申込のしおり」をご確認ください。

← 公営住宅の当選倍率まとめ(都市別データ・シミュレーター)へ