市営住宅・公営住宅の家賃はいくら?
本来家賃の自動計算【2026年版】
最終更新:2026-08-15 / 家賃算定基礎額・各係数は公営住宅法第16条と同法施行令にもとづく。金額表は複数自治体の公表資料で突合済み(出典は末尾)
「市営住宅っていくらで住めるの?」——ここが分からないまま倍率だけ調べている方が多いところです。公営住宅の家賃は民間のような相場ではなく、法律で決まった5つの数字の掛け算で決まります。しかも出発点になる金額は全国共通の8区分(34,400円〜91,100円)で公表されています。つまり申し込む前に、自分の家賃はかなりの精度で計算できるということです。このページでは式と全区分の金額を公開したうえで、床面積・築年数を入れるだけで概算する計算機を置いています。
この記事の要点公営住宅の家賃は「家賃算定基礎額 × 立地係数 × 規模係数 × 経過年数係数 × 利便性係数」。基礎額は政令月収の8区分で34,400円〜91,100円と決まっており、同じ住戸でも収入区分で家賃は約2.6倍変わります。逆に言えば、収入が低い世帯ほど家賃も自動的に下がるのが公営住宅の最大の特徴です。まず下の計算機で概算し、次に収入基準(政令月収)と当選倍率を確認してください。
① 公営住宅の家賃は「5つの掛け算」で決まる
公営住宅法第16条は、家賃を入居者の負担能力(応能)と、住宅から受ける便益(応益)の両方に応じて決めると定めています。これを応能応益家賃と呼び、実際の計算式は全国どの自治体でも同じ形です。
計算式本来家賃 = ①家賃算定基礎額 × ②市町村立地係数 × ③規模係数 × ④経過年数係数 × ⑤利便性係数
| 要素 | 何で決まるか | 値の範囲 |
|---|---|---|
| ①家賃算定基礎額 | 世帯の政令月収(=収入から法定の控除を引いた月額)の8区分 | 34,400円〜91,100円 |
| ②市町村立地係数 | その市町村の地価の状況。国土交通大臣が市町村ごとに定める | 0.7〜1.6 |
| ③規模係数 | 住戸の専用床面積 ÷ 65平方メートル(バルコニー等は除く) | 面積次第(65㎡で1.0) |
| ④経過年数係数 | 建設からの経過年数。非木造は1年あたり0.0039、木造等は0.0087ずつ下がる | 1.0以下(古いほど安い) |
| ⑤利便性係数 | 立地・設備など住宅から受ける便益。自治体が住戸ごとに定める | 0.5〜1.3 |
ここがポイントこの式で効いているのは①と④です。①は収入が低いほど家賃も低いという公営住宅の根っこの仕組み。④は築年数が古い住戸ほど家賃が安いという仕組みで、これが応募倍率の話とつながります。駅近・築浅の住戸に応募が集中して100倍を超える一方、築古・エレベーターなしの住戸で応募ゼロが出るのは、家賃の側でもきちんと差がついているからです。「安く住む」を最優先にするなら、倍率の低い住戸のほうが家賃も安いことが多くなります。
② 家賃算定基礎額の全8区分(全国共通・34,400円〜91,100円)
家賃の出発点になる金額です。世帯の政令月収がどの区分に入るかだけで決まり、全国どこでも同じ額が使われます。自分の政令月収がまだ分からない方は、先に政令月収の自動判定で計算してから戻ってきてください。
| 収入分位 | 政令月収 | 家賃算定基礎額 |
|---|---|---|
| 1 | 104,000円以下 | 34,400円 |
| 2 | 104,001〜123,000円 | 39,700円 |
| 3 | 123,001〜139,000円 | 45,400円 |
| 4 | 139,001〜158,000円 | 51,200円 |
| 5 | 158,001〜186,000円 | 58,500円 |
| 6 | 186,001〜214,000円 | 67,500円 |
| 7 | 214,001〜259,000円 | 79,000円 |
| 8 | 259,001円以上 | 91,100円 |
区分4(158,000円)までが本来階層=原則の入居収入基準です。区分5・6は高齢者世帯・障害のある方のいる世帯などの裁量階層(214,000円まで)で入居できる範囲。区分7・8は入居後に収入が増えた収入超過者の家賃計算に使われます。
③ 家賃の自動計算
分かっている範囲で入れてください。立地係数と利便性係数は自治体が決める数値なので、分からないときは初期値の1.0のままで構いません(その場合は「係数を除いた素の家賃」に近い概算になります)。
公営住宅の本来家賃 概算シミュレーター
要確認この計算は公表されている法定の式にもとづく概算です。実際の家賃は、自治体が住戸ごとに定める立地係数・利便性係数の実数値、端数処理のルール、共益費(家賃とは別に徴収されます)、駐車場代などで変わります。また収入超過者の割増や減免制度も自治体の条例によります。確定額は必ず募集案内、またはお住まいの自治体の住宅担当課でご確認ください。当サイトは家賃の決定や個別の可否判定を行うものではありません。
④ 同じ住戸でも、収入で家賃は約2.6倍変わる
公営住宅でいちばん誤解されているのが「公営住宅=一律に安い」という理解です。実際は収入区分で家賃が動くため、同じ部屋でも人によって払う額が違います。基礎額の最低(34,400円)と最高(91,100円)の比は91,100 ÷ 34,400 = 約2.65倍。上の計算機に入れた住戸について、8区分すべての家賃を並べたのが下の表です(入力を変えると連動します)。
| 収入分位 | 政令月収 | この住戸の家賃(概算) |
|---|
引用できる数字本ページで扱っている数値のうち、そのまま引用できる形にまとめると次のとおりです(いずれも公営住宅法施行令にもとづく法定値。観測日 2026-08-15)。
・公営住宅の家賃算定基礎額は、政令月収の8区分で34,400円(月収104,000円以下)から91,100円(259,001円以上)まで。同じ住戸でも収入区分により家賃は約2.65倍の差がつく。
・市町村立地係数は国土交通大臣が市町村ごとに0.7〜1.6の範囲で定めるため、同じ収入・同じ住戸でも自治体が違えば家賃は最大約2.29倍の差になりうる。
・経過年数係数は非木造で1年あたり0.0039、木造等で1年あたり0.0087の低下。非木造の築30年は0.883(新築比 約12%安)、築50年は0.805(同 約20%安)。
・規模係数の基準面積は65平方メートル。40㎡の住戸なら係数0.615で、家賃は基準面積の約6割。
出典を明記していただければ、これらの数字と表の引用・転載は自由です(リンクの有無は問いません)。推奨する記載例:「出典: フクシル(公営住宅の家賃の計算)https://fukushiru.com/articles/koei-yachin-keisan.html」。
⑤ 築年数が古いほど家賃は安い(=倍率の低い住戸は家賃も安い)
経過年数係数は「古くなるほど住宅から受ける便益は小さい」という考え方で、家賃を年々下げていく仕組みです。非木造(鉄筋コンクリート造など)は1年で0.0039、木造等は1年で0.0087ずつ下がります。
| 経過年数 | 非木造(RC等) | 木造等 |
|---|---|---|
| 新築(0年) | 1.000 | 1.000 |
| 10年 | 0.961 | 0.913 |
| 20年 | 0.922 | 0.826 |
| 30年 | 0.883 | 0.739 |
| 40年 | 0.844 | 0.652 |
| 50年 | 0.805 | 0.565 |
倍率のページで見たとおり、応募が集中するのは駅近・築浅・エレベーターありの住戸で、札幌市の幌北団地は175.8倍、福岡市の千代パピヨン(単身)は217倍に達しています。一方で築古・エレベーターなしの住戸には応募ゼロが並びます。ここで家賃の式を思い出すと、倍率が低い住戸は、経過年数係数と利便性係数の両方が低い=家賃も安いことが多いという関係が見えてきます。「とにかく早く・安く入りたい」のか「立地と設備を優先したい」のかで、狙う住戸は逆になります。
⑥ 収入が増えたとき・減ったとき
公営住宅の家賃は毎年の収入申告にもとづいて年度ごとに決め直されます。収入が上がれば区分が上がって家賃も上がり、下がれば家賃も下がります。
- 収入超過者・高額所得者——入居後に収入基準を超えた状態が続くと、収入超過者として家賃が段階的に引き上げられ、最終的には民間の同種の住宅並みの家賃(近傍同種家賃)に近づきます。すぐに追い出されるわけではありませんが、段階や時期は自治体の条例で違います。
- 減免制度——失業・病気・被災などで収入が大きく減ったときは、家賃の減免・徴収猶予を設けている自治体が多くあります。これは自動では適用されず、申請が必要です。心当たりがあれば住宅担当課に相談してください。
- 生活保護を受けている場合——家賃は住宅扶助の対象になります。基礎額も最低区分になりやすいため、公営住宅は住宅扶助の上限に収まりやすい選択肢です。
よくある質問(FAQ)
Q. 市営住宅の家賃はいくらくらいですか?
A. 一律の相場はなく、家賃算定基礎額(34,400円〜91,100円)に4つの係数を掛けた額になります。政令月収が低い世帯・築古・面積が小さい住戸ほど安く、逆に収入が高い・築浅・広い・地価の高い市の住戸ほど高くなります。上の計算機で自分の条件を入れるのがいちばん早い方法です。
Q. 同じ部屋なのに隣の人と家賃が違うのはなぜですか?
A. 公営住宅は収入に応じて家賃が変わる仕組み(応能応益家賃)だからです。住戸の条件が同じでも、家賃算定基礎額が34,400円〜91,100円の間で動くため、最低区分と最高区分では約2.6倍の差がつきます。
Q. 公営住宅の家賃は築年数が古いと安くなりますか?
A. 安くなります。経過年数係数として、非木造は1年あたり0.0039、木造等は0.0087ずつ係数が下がります。非木造で築30年なら0.883(新築比で約12%安)、築50年なら0.805(約20%安)です。
Q. 家賃のほかにお金はかかりますか?
A. かかります。共益費(階段の電気・水道、エレベーター保守、共用部の清掃など)は家賃とは別に入居者で負担するのが一般的で、団地の自治会が集める方式も多くあります。ほかに駐車場を使う場合の駐車場使用料、入居時の敷金(家賃の数か月分)などが必要です。金額は自治体・団地ごとに違うため募集案内でご確認ください。
あなたの街の家賃、教えてください
「うちの市営住宅は◯㎡・築◯年でこの家賃だった」「立地係数はこの数字だった」といった実例は、同じように調べている人の大きな助けになります。下のコメント欄(アカウント不要・匿名OK)からどうぞ。個人や住戸が特定される情報は書かないでください。
出典
- 公営住宅法(昭和26年法律第193号)第16条(家賃の決定=応能応益家賃)/公営住宅法施行令(昭和26年政令第240号) https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000240
- 岸和田市「公営住宅の家賃」(家賃算定基礎額の8区分、立地係数0.7〜1.6・岸和田市1.05、規模係数65㎡、経過年数係数 木造1−0.0087×年/非木造1−0.0039×年、利便性係数0.5〜1.3) https://www.city.kishiwada.lg.jp/page/122-koueijyuutakuyatinn.html
- 北谷町「公営住宅の家賃について」(家賃算定基礎額の8区分、各係数の定義) https://www.chatan.jp/smph/seikatsuguide/jutaku/choeijutaku/keikaku20240624.html
- 鹿角市「住宅使用料(家賃)の算定」(家賃算定基礎額の8区分、経過年数係数 RC造1−0.0039×年/木造等1−0.0087×年) https://www.city.kazuno.lg.jp/soshiki/toshiseibi/kenchikujutaku/gyomu/1/2/1/12880.html
- 千葉県「一般県営住宅の家賃の決定方法」(計算式と各係数の定義) https://www.pref.chiba.lg.jp/juutaku/chintai/annai/yachinkeisan.html
- 京都市「家賃の算定方法について」(応能応益家賃の算定方法) https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000136/136418/1.pdf