数字で見る障害年金
【不支給率・等級・傷病別データと「地域差」の話】
最終更新:2026-07-03 / 出典は厚生労働省・日本年金機構・e-Stat(記事末尾に一覧)
障害年金は「ずるい」「もらえない」と感情で語られがちですが、公的な統計で全体像を見ると景色が変わります。この記事では、障害基礎年金の不支給割合、かつて最大約6倍もあった都道府県の地域差とその是正、傷病別・等級別の受給者の傾向を、出典つきで整理します。そして当事者の最大の関心「更新で級が下がる確率」も、最新の認定状況データ(更新の約96.7%が等級を維持)でお答えします。結論は「初回審査が本番、更新はほぼ維持」です。
この記事の要点① 障害基礎年金(精神・知的)の不支給割合は、2014年度の調査で都道府県により4.0%〜24.4%(約6倍差)。② 2017年4月から審査を東京に一元化し地域差を是正する方向に。③ 新規決定の約3分の2(66.9%)が精神・知的障害。④ 更新(再認定)は令和6年度で継続(等級維持)96.7%・悪化(減額+停止)は約1.9%=「初回が本番、更新はほぼ維持」。身体の固定障害は永久認定で更新すら不要。
① 障害基礎年金の「不支給割合」と、かつての地域差
障害年金の審査結果には、かつて住む地域による大きな差がありました。厚生労働省が2014年度(平成26年度)の事例をもとに行った「障害基礎年金の障害認定の地域差に関する調査」では、精神障害・知的障害にかかる不支給割合に、次のような都道府県差が確認されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 最も不支給割合が高い県 | 大分県 24.4% |
| 最も不支給割合が低い県 | 栃木県 4.0% |
| 地域差 | 最大で約6倍の開き |
| 新規決定に占める精神・知的の割合 | 66.9% |
調査では、不支給割合が低い県では「日常生活能力の程度」が(2)相当でも支給の目安となっていた一方、不支給割合が高い県では概ね(3)相当が目安となっていた、という運用のばらつきが指摘されました。同じ状態でも、審査する場所によって結果が変わりうる——当事者にとっては見過ごせない問題でした。
その後の是正この地域差を受けて、2017年4月から、全国の障害年金(障害基礎年金)の審査は東京の「障害年金センター」に集約され、認定の地域差を是正する方向に運用が変わりました。つまり「今も同じ6倍の地域差がある」わけではありません。ただし審査の厳格化や、年度ごとの認定状況の変化は引き続き注目されています(厚労省が毎年度の認定状況の調査報告書を公表しています)。
② 傷病別・等級別の傾向(受給者のデータ)
「どんな病気・障害の人が、どの等級でどれくらい受けているか」は、厚生労働省の「年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)」で、制度別・障害等級別・傷病名別に受給者数と割合が公表されています(政府統計ポータル e-Stat で誰でも確認できます)。
- 新規に決定された障害基礎年金の事例では、精神障害・知的障害が約3分の2(66.9%)を占めます(前述の地域差調査より)。精神・知的は、障害年金全体でも大きな比重を持つグループです。
- 等級別・傷病別の細かい受給者数・割合は、e-Statの該当表で最新の数値を確認できます(本記事では具体的な内訳の数字は、誤りを避けるため引用せず出典リンクを案内します)。
要確認等級別・傷病名別の具体的な受給者数・割合(◯%)は調査年により変わります。正確な内訳は、記事末尾のe-Stat「年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)」の各表でご確認ください。本記事は数字の出どころを案内する位置づけです。
③ 更新(再認定)では、ほとんど級が変わらない【最新データ】
受給中の方が最も気にするのは「更新(障害状態確認届)で級が下がる・止まる確率」でしょう。以前は傷病別の公開データが乏しかったのですが、厚生労働省が毎年度の認定状況調査報告書を公表するようになり、いまは全体像を数字で見られます。結論から言うと、更新では大多数が今までどおりです。
| 再認定の結果 | 割合 |
|---|---|
| 継続(等級を維持) | 約96.7% |
| 増額(等級が上がった) | 約1.4% |
| 減額(等級が下がった) | 約0.8% |
| 支給停止(非該当) | 約1.1% |
つまり更新で「悪くなる」(減額+支給停止)人は、合わせて約1.9%。むしろ増額(1.4%)が減額(0.8%)を上回り、9割以上が今までどおりの等級を維持しています。「更新で切られるのでは」という不安ほどには、実際に級が下がる・止まる人は多くありません。
初回だけが"本番"この数字が示すのは、障害年金は初回(新規)の審査がいちばん厳しく、更新はほとんど維持という構図です。初回は不支給がありえて(前述の地域差4.0%〜24.4%の例、近年は「不支給が増えた」との報道も)、いわばここが勝負どころ。一方で一度認められれば、更新で悪化するのは約1.9%にとどまります。
④ 身体の「固定した障害」は、更新すらない(永久認定)
さらに、症状が固定して回復が見込めない障害——たとえば手足の切断・完全失明・人工関節の置換など——は「永久認定(無期認定)」となり、そもそも更新(診断書の提出)が不要です。新規受給者のうち永久認定はおおむね約9.2%(日本年金機構の業務統計)で、その中心は身体の固定障害です。
一方、精神障害や内部障害は症状が変動しうるため原則「有期認定」(1〜5年ごとに更新)です。ただし前章のとおり、有期認定でも更新で級を維持する人が大多数です。
読み方・要確認継続96.7%・悪化約1.9%は全傷病を合わせた平均です。傷病・程度によって差があり、精神障害など有期認定では、更新で減額・支給停止となる人も一定数います(全体で約1.9%)。結果は提出する診断書の内容に大きく左右されます。数値は調査年度で変わるため、最新は厚労省・日本年金機構の公表資料でご確認ください。ご自身の見通しは年金事務所へ。
体験を募集中統計では「更新はほぼ維持」ですが、精神など有期認定の個別のケースでは、更新のときの診断書の書き方や結果の体験が参考になります。「この傷病・等級で、更新がどうだったか」をアカウント不要・匿名で共有してください(個人が特定される情報は避けてください)。
よくある質問(FAQ)
Q. 障害年金の不支給率はどのくらいですか?
A. 全国一律の単純な数字はありませんが、厚労省が2014年度事例で行った調査では、障害基礎年金(精神・知的)の不支給割合は大分県24.4%〜栃木県4.0%と約6倍の地域差がありました。2017年4月以降は審査を東京に集約し是正の方向です。最新の傾向は厚労省・日本年金機構の統計をご確認ください。
Q. 障害年金は精神の病気でももらえますか?データ上はどうですか?
A. 精神疾患・知的障害も対象で、新規決定の約3分の2(66.9%)が精神・知的障害です。ただし「日常生活能力の程度」の評価が結果を左右します。
Q. 更新で等級が下がる・止まる確率はどのくらいですか?
A. 大多数は等級を維持します。厚労省「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」では、再認定(障害基礎年金+障害厚生年金 計約30万件)のうち継続(等級維持)約96.7%、増額約1.4%、減額約0.8%、支給停止約1.1%で、悪化(減額+停止)は合わせて約1.9%でした。手足の切断・完全失明など固定した身体障害は永久認定で更新自体が不要です。ただし精神など有期認定では傷病・診断書により差があります。
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出典(厚生労働省・日本年金機構・e-Stat)
- 厚生労働省「障害基礎年金の障害認定の地域差に関する調査結果」 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000070967.html
- 同 調査結果PDF(不支給割合の地域差・表1ほか) https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12512000-Nenkinkyoku-Jigyoukanrika/0000075359.pdf
- 厚生労働省「年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)」e-Stat(制度別・等級別・傷病名別の受給者数/割合) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?tstat=000001021991&toukei=00450411
- 厚生労働省年金局「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」 https://www.mhlw.go.jp/content/12512000/001502249.pdf
- 障害年金の業務統計(社会保障審議会年金事業管理部会 資料) https://www.mhlw.go.jp/content/12508000/000669908.pdf